25.【ホントは牛の蹄(ひづめ)が好き】

マルックスのとのまるとのまるのお話。

どうも。とのまるです!

ぼくの好きなおやつは、いろいろとありますが、ここ最近は牛アキレスがお気に入りです。

とっても固い牛アキレスですが、カミカミしていると、だんだんと白っぽくなり、最終的にはふにゃふにゃビチャビチャになっていきます。

ふにゃふにゃになってくると、ぼくもちょっと気持ち悪くなってきて、途中から空中に投げ始めます。

拾っちゃ投げ拾っちゃ投げを繰り返し、時には、ご飯中のみんなの食卓へ飛んでいくこともありますし、あねまるの顔に当たることだってあります。

「わぁ~!ビチャビチャの白いものがわたしの顔に・・・」

騒ぎながらもあねまるは、牛アキレスがひっついた部分をスリスリし、ぼくで拭こうとしてきます。

嫌な顔をするぼく。

「何でアンタが嫌な顔するのよ。アンタのアキレスでしょうが~」

怒られつつも、あねまるからアキレスを奪い返すと、”ウォウウォウウォウ”と言いながら、再び投げまくり、時々かじったりしながら、最後まで存分に楽しみます!

こんなにも大好きな牛アキレスですが、ぼくにはもっともっと大好きな忘れられないおやつがあります。

それはです!もうあんなにも大好きだったおやつはアレ以外にはありません!

あれは、この家へ来てしばらく経ったころでした。

いつものように、あねまる ははまると一緒に出かけたホームセンターで、いつものようにおやつを買ってもらい、いつものように帰りの車でカミカミしながら遠足気分で帰る予定でした。

車に乗り込んだ所までは、いつも通りだったのです。

ただ、出発して間もなく、あの蹄を与えられたぼくは、あまりの感激に正気を失ってしまったのです。

ぼくが蹄に齧りついてすぐに、車内はパニック状態になります。

「なになになになに!?この臭いは!?」

運転しながら騒ぎ出すあねまる。

「わぁ~~コレばい!」と、ぼくの蹄を再び袋の中へしまおうとするははまる。

それを奪い返し、後ろの座席へ移動しカミカミを続行するぼく。

その間にも何とも言えない臭いが車内へ充満します。

「これはいかん!」とぼくの蹄を再び奪おうとするははまるですが、あまりの臭さに、ははまるも、あねまるもかなり変になってしまっていて、どうにも笑いが止まらない様子。

「蹄ヤバーーーーーっ!!!」

と涙を流し、爆笑しつつ、窓を開けるあねまる。

「なんというモノを与えてしまったのだろう・・・」

と後悔しつつも、あまりの臭さと、ぼくの必死さにやはり涙を流して爆笑しているははまる。

やっとの思いで家へ帰りつくも、車内は既に蹄臭(ひづめしゅう)で、ぼくにとっては天国ですが、2人にとってはすごい臭いらしいです。

車をドアごと開け放したまま、荷物を抱え、家へと向かう2人。

その前を蹄を咥えて先導するぼく。

家へ入って数秒後・・・・

「なんや!?この臭いは・・!?」パニックになるととまる。

なんでもないとは言えない2人。

「まるでこの家が、牛舎になったかのようですね~それでは!」

と、ぼくを連れて通り過ぎようとするあねまる。

「マルの咥えとるそれか!?」と気持ち悪がるととまる。

すると、ととまるは、ははまるへ蹄を処分するよう言い渡したのです!

意地でも渡すものかと部屋から部屋へと移動しつつ頑張るぼく。

「もう臭くてもいいじゃん!こんなに好きなのに食べさせてやってよ~!」と抗議するあねまる。

そうしている間にも、臭いはどんどん広まります。もちろん、ぼくのお顔も蹄臭です。

「こぎゃん臭かとにどぎゃんすっとか?こいつは今日ベッドに入れられんぞ!」と、ととまる。

「こんなに好きなのに取り上げられ~ん」とははまる。

こうして、ははまるとあねまるの交渉の結果、ぼくは、2時間だけ蹄を思う存分味わう時間を与えられたのでした。

休むことなく蹄に貪りつくぼくを、次第に心配するあねまる。

「とのちゃん、あご大丈夫?」

「ちょっと休憩する?」

一切、反応せずに無心で齧り続けるぼく。

あっという間に時間が来て、

「もういいでしょ?とのちゃん!」意を決して蹄を没収するははまる。

そして、蹄は捨てられました・・・

その後も、狂ったように蹄を探し続けるぼくを憐れむあねまるでしたが、ぼく自体のあまりの臭さに、ハッとし、無言でぼくをお風呂場へと連行すると、いつもよりも念入りに、洗ったのでした。

「世の中にあんなに素晴らしいものがあったなんて・・・衝撃です!」

あねまるは、

「スモークの蹄だったら、この前の蹄よりも臭くないってよ?とのちゃんに買ってあげよう?」

と、言ってくれるのですが

「アンタ、また取り上げんといかんくなった時の事ば考えてごらん?可哀想かでしょうが」

「アンタ、とのちゃんから蹄を奪いきるね?お母さんはもう、あぎゃん可哀想かことはしきらんよ?」

と説得されると渋々諦めて、

「とのちゃん、申し訳ない!今日もこの牛アキレスでお許しを・・・」

といって、ぼくに牛アキレスを献上するのですが、ぼくはあねまるが蹄を買ってきてくれる日を心待ちにしています。

あれ以来、とのまる一家には、”ねこにマタタビ、とのまるに蹄!”ということわざが誕生しました。

愛犬に蹄を与えたことのない、勇気のあるご家族の方はお試しあれ~♪


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