そういえばぼくの名前は最初”マル”でした。
ぼくのことをじーっと見ながら、シーンとなって、みんなそれぞれ考えていたけれど・・・
「ほんとに何も思いつかんね~」
と、ははまる。
「でも何か決めないと、呼ぶにも呼べないよねぇ~」
と、あねまる。
「なんでもよか!もうマルでよかたい!」
と、投げやりなととまる。
”こんな適当なととまる案に決まるわけないし!”
と思いつつ、余裕の表情でととまるの方を見るぼく。
しかし・・・
「うんうん。マルックスだしね~!」
「マルってかわいかね!」
と以外にも賛同する2人。
そしてあっさりと、ぼくはの名前は”マル”になったのでした。
さて、マルになって、一週間ほど経ったある日のこと。
実はぼく、あれからずーっと興奮仕切りで、暴れまくり、噛みまくり、吠えまくり、壊しまくりという日々を送っていて、ととまる一家は、全員寝不足。特にあねまるは寝不足+傷だらけという状態でした。
今ではこんなに落ち着いて、優しくなったぼくだけど、来た当時は、いつもソワソワしていて、少しもじっとしていることができませんでした。
抱っこされたら噛みついて、ひっかいて、何でも口に入れては食べたり、壊したりしてしまうので、一日中少しも目が離せなかったようであります。
その日も、朝から暴れっぱなしで、噛み放題、壊し放題、怒られても何にも聞いていない僕でしたが・・・
「飯くらいゆっくり食わせろ!」
と、とうとうご飯の時間にキレるととまる。
「私が選びました」
と申し訳ない様子のははまる。
「あ~もう!ゆっくり抱っこもできないし、チューしたら顔噛むし、呼んでも振り向きもしないし、何より一度も目が合わないし~!寂しさが限界なんですけど・・・」
とやけくそになるあねまる。
「手ですらこんなに噛むとに 何で あんた 顔からいくの!?危なかたい!」
とあねまるを叱るははまる。
そんな会話の最中で、ふとあねまるを見上げた時に、ぼくは、初めてあねまると視線が合ったのでした。
歓喜するあねまる。そして、
「侍のような眼をしとる!いやこの目は殿様だ!」
と呟くと突然、
「今日からとのまるに改名致します!!」
と宣言したのでした。
「俺はマルてしか呼ばんばい!」
と、頑ななととまるの意見など一切きいていないあねまるは、
「との~との~とのまる~」
と、嬉しそうに僕のことを呼びながら、
「今まで、誰かと一緒に 寝たり、撫でられたり、抱っこされたりしてこなかったから、とのまるも嫌だよね~安心できないよね。ごめんね~」
と言いながら、相変わらずぼくを抱っこしては引っかかれ、チューしては顔を噛まれ、それでも毎日ミミズばれの手はいつでもぼくを撫でるのでした。
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