6.【ととまるは鼻ぺちゃが好き。】

マルックスのとのまるとのまるのお話。

ぼくは、全速力でととまるに飛びつくと、ペロペロペロペロしてあげました。

ととまるは、

「んんん~~っ!」

と、声にもならぬ声を上げながら抵抗したけれど、容赦なく飛びつきながら、時々噛んだりもしました。

降参しながらもととまるは、

「また、ブサイクな・・・」

などと、失礼なことをいうので、ぼくは更に髪の毛も引っ張りました。

ととまると一通り遊んで気が済んだぼくは、お家の中を端から端まで走り回りました。

こんなに走ったことは初めてだったので、時々変な動きになっていたようで、ははまるとあねまるに笑われました。

けど、あねまるは、ぼくと目が合わないことを、この時寂しく感じていたそうです。

ぼくは、何をしている時でも、人の手しか見ていなかったのだといいます。

「ずーっと狭いゲージの中だけで育ってきて、ご飯だけが楽しみだっただろうから、ゲージを開けてくれる手、ご飯を入れてくれる手、新聞紙を変えてくれる手、手、手・・・人の手が、この子の全てだったんだろうね~」

と、寂しげに言うあねまる。

「そぎゃんだろうねぇ・・・」

と、神妙な顔つきになるははまる。

「それにしてもブサイクな・・・」

と、ととまる。

またしても侮辱され飛び掛かるぼく。

「そんなこと言ってるけど、既に洋服がペアルックたい!」

と、ははまるに言われて見てみると、車の中でぼくが着させられた服は、ほとんどととまるとお揃いのグレーのTシャツでした。

こうして強制的に、新しい息子を迎え入れることになったととまるは一言、

「俺は鼻ぺちゃの犬が好きだったちから・・・」

と小さく呟いたのでした。


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とのまるのお話。
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とのまる日記

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